2020年3月29日に志村けんさんがお亡くなりになり、存在が世に知れ渡った「非透過性納体袋」というもの。
どうやら、コロナウイルスに感染してしまいなくなると、感染拡大防止のためにご遺体を「非透過性納体袋」に入れるそうです。
今回は
- 非透過性納体袋の読み方や意味
- 非透過性納体袋の価格
- 非透過性納体袋に入ったら顔や体は見えるのか?
- 非透過性納体袋とお葬式
についてまとめました。
非透過性納体袋はなんて読む?意味や性能は?
「非透過性納体袋」は「ひとうかせいのうたいぶくろ」と読みます。
意味を理解するために、ワードを分解していきますね。
「納体袋」というのは、ご遺体を入れる袋のことです。
納体袋は、遺体収納袋・遺体袋・死体袋・遺体収容袋という呼び方もされます。
「透過性」というのは、「通り抜けられる性能」という意味です。
ですので、「非透過性」というのは、「通り抜けられない性能」という意味です。
じゃあ、何を通り抜けられなくさせるのか?ですよね。
遺体収納袋を扱っている川尻工業によりますと、
ITU型は非透過性納体袋で完全に密閉することができます。ITU型は大変安価ながら非透過性納体袋で完全に密閉することができます。そのため感染性や重篤な薬品事故、放射能事故に対しても利用ができます。応用として蛆虫や甲虫類が発生した状態や、体液漏洩が激しく腐乱した場合、死蝋化や特に白骨化されていたり轢断分裂の際にもまとめることができます。事故で損傷の著しい場合においても一元管理として全てを一つとして収容できますので、管理事務所の備蓄品として活用が可能です。本製品からの流出物は在りませんので証拠品を確実に保持できます。弊社製品を使う事で、外部に汚染を流失する事を、格段に確実に防止します。
出典元:有限会社 川尻工業
つまり、「非透過性」の袋であれば、「遺体から出てしまうあらゆる物質」が袋を通って外部に出ないということです。
袋の中には、マイクロメートル単位の穴が開いた通気性のあるビニール袋も存在します。
水は通さないが、空気は通すみたいな。
「非透過性納体袋」の場合は、空気さえも通さないほど密封することができるということですね。
非透過性納体袋の価格は高い?メーカーに違いはある?
実用新案登録という政府登録もされている有限会社川尻工業によりますと、
製品の特性を熟知した弊社が初めてこの製品を売り始めました。各警察署や省庁関連及び地方公共団体、系統解剖学ではの乾燥防止用としても使われています。只の袋ではなく機能を備えています。同品等で安値な物が在りますが、弊社製の物は、根拠に基づいた製法でバラツキが無く安定し、この性能を保った上で安価に製造をしています。北海道内で本ページの遺体袋(納体袋)および、遺体覆いシートは弊社以外から売られている物はすべて模倣商品(デッドコピー)です。それらの製品の保証はしていません。弊社所有の意匠をもっています。なお、形状や大きさは似ていて、同等品申請などで価格競争で粗悪品を販売する業者がおりますが、材質や機能に同等品は存在なく価格競争ができるものではありません。
出典元:有限会社 川尻工業
「非透過性納体袋」といいながらも、性能が劣っているのに、同じような見た目の商品が出回っているようです。
つまり、性能が保証されていない偽物(模倣商品)を売る業者もあり、非常に危険な状態でもあると(感染症とかの観点から)。
この書き方からすると、少なくとも北海道内の公的機関に関しては有限会社川尻工業の納体袋が使われているようです。
こちらのホームページを確認しましたが、「非透過性納体袋」の値段は記載されておらず、地方自治体・医療分野関係者向けに販売されているようです。
ですので、基本的に一般の人が購入できるような商品ではないようです。
他のメーカーも調べましたが、おそらく資料請求してもらって公的機関や医療関係者のみに販売しているっぽいです。
ちなみに、実用新案登録済みの「遺体収納袋20枚セット」という商品を楽天で見つけたのですが、20枚セットで82500円でした。
1枚あたり、だいたい4100円ですね。
こちらの商品は、「非透過性納体袋」という表記がありませんでした。
あくまでも目安ですが、「非透過性納体袋」だともう少し高い可能性もありますね。
非透過性納体袋は新型コロナウイルス感染者は必須?火葬についても
厚生労働省によりますと、
新型コロナウイルスにより亡くなられた方の遺体は、24時間以内に火葬することができるとされており、必須ではありません(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第30条第3項、新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令第3条)。感染拡大防止対策上の支障等がない場合には、通常の葬儀の実施など、できる限り遺族の意向等を尊重した取扱をする必要があります。
出典元:厚生労働省
どうやら24時間以内に火葬をしてもしなくてもいい、ということです。
厚生労働省としても、遺族の意向を尊重し、新型コロナウイルス感染者であっても通常の葬儀の形もできるようにしたいみたいですね。
志村けんさんの兄、志村知之さん。
親族でも火葬場にも行けない、最後のお別れもできないなんて辛すぎる。改めて新型コロナウイルス感染症の恐ろしさを知る。 pic.twitter.com/Aa9fWHAgZF— Mi2 (@mi2_yes) March 30, 2020
ただ、志村けんさんは「非透過性納体袋」に納められ、そのまま火葬されるとのことです。
つまり、通常の葬儀の実施はできないということのようです。
遺体の搬送や火葬場における火葬に際しては、遺体からの感染を防ぐため、遺体について全体を覆う非透過性納体袋に収容・密封することが望ましいです。遺体を非透過性納体袋に収容・密封後に、納体袋の表面を消毒してください。遺族等の意向にも配意しつつ、極力そのままの状態で火葬するよう努めてください。
出典元:厚生労働省
「非透過性納体袋」に入ってたということは、「感染拡大防止対策上の支障がある」と判断されるのだと思います。
新型コロナウイルス感染拡大防止のためにも、感染者の遺体との面会は避けたほうがいいのでしょう。
非透過性納体袋は収納・密封で顔や体は見えない?お葬式ではどうなる?
次のようなツイートが多く見られます。
非透過性納体袋はこの様に
御顔も見ることすらかなわない。 pic.twitter.com/0urkwEuwTf— 黒犬あん@小さいお犬さん (@iganchan1125) March 30, 2020
新型コロナで亡くなられた方のご遺体が納められる、「非透過性納体袋」とは何だ?と思い、調べました。
写真の通りですが、菌や腐食の対策が施された袋です。
こんな顔すら見えない物に入れられるのか…
家族も最期を見送りも顔を見ることも許されないのか…
ご遺族のことを考えると胸が苦しいです。 pic.twitter.com/iNZfFkdT2o— ツヨ@ラジオ大好き (@tuyo2425) March 30, 2020
というように、亡くなった方が「非透過性納体袋」で顔や体が覆われ、最期の姿を見届けることができないというツイートがたくさん見られます。
これはちょっと論点が違うのではないでしょうか。
「非透過性納体袋」で隠れてどうこうではなく、単純に新型コロナウイルス感染者の遺体と対面できないという話だと思います。
物理的に顔や体が見えないのは「非透過性納体袋」ではなく、上の遺体覆いシートがあるからです。
だからシートを外したら中の遺体を見ることはできます。
上の画像は、有限会社 川尻工業の製品ですが、
- 遺体袋(納体袋)
- 遺体覆いシート
の2つに分かれています。
他のメーカのものを見ても、インナーバックとアウターバックというように分かれています。
「納体袋として」の役割(外部に物質を出さない)と「外から見えないように隠したり、持ち運びやすいようにする」役割の2つが分かれているようですね。
川尻工業の製品では、非透過性納体袋にもグレー色と透明色のものがあります。
覆いシートは、覆うという役割があるのでグレーで中の様子が見えません。
しかし、覆いシートなしで、透明色の「非透過性納体袋」のみの状態ならば、中の人が見えますよね。
まぁメーカーによっては、遺体袋(納体袋)と遺体覆いシートが一体になっているものもあるのかもしれません。
もし、一体になっておらず別々になっているなら、メーカーによっては「非透過性納体袋」で密閉された状態でも、最期の顔を見ることができると個人的に思いますが。(覆いシートを外すなどして)
なので、物理的には遺体を見えるようにはできる。
でも、物理的に見えるかどうかではなく、
新型コロナウイルス感染者の遺体は、病院からそのまま火葬場に移されるため、最期の姿を見ることができないのです。