2019年9月9日発売の『進撃の巨人121話』で、長年明かにされなかった「進撃の巨人」の能力が判明しました。
能力としてはシンプルなのですが、「進撃の巨人の能力チートすぎるのではないか?」との声もあります。
一方で、過去・現在・未来がいろいろ複雑に絡み合って、進撃の巨人の能力は訳が分からないと混乱されている方もいらっしゃいます。
今回は
- 進撃の巨人の能力
- 進撃の巨人120話、121話の記憶ツアーについて
について図を使って解説していきたいと思います。
進撃の巨人121話までネタバレOKの方のみ、読み進めてください!
また、記憶についての解釈は私の考えに基づくものなので、参考程度に見てもらえると幸いです。
進撃の巨人の能力は未来の記憶を見る能力?
進撃の巨人の能力は簡単に言うと「未来の記憶を見る」能力です。
ただ、「未来の記憶」といっても、見る事ができるのは進撃の巨人の未来の継承者の記憶です。
進撃の巨人120話と121話では、エレンの父グリシャの過去の記憶が舞台となっています。
時代としては、エレンが生まれてから超大型巨人に襲われたときです。
その当時、進撃の巨人は誰が所持していたかというと、エレンの父グリシャです。
言い換えると、その当時における「現在の進撃の巨人の継承者」はグリシャです。
そして、グリシャから見ると「未来の進撃の巨人の継承者」はエレンです。
で、進撃の巨人121話では、グリシャは進撃の巨人の能力で「未来の進撃の巨人の継承者」であるエレンの記憶を見ることができるということが明らかになりました。
進撃の巨人は過去の記憶を見る能力もある?
進撃の巨人の能力が明らかになって、こんな風に思いませんでしたか?
私も一瞬そう思ってしまって、進撃の巨人の固有の能力ではないと思ったのですが、他の知性巨人が見れるのは「過去の継承者の記憶」でしたね。
「過去の継承者の記憶を見る」能力については、全ての知性巨人がもっている能力だと思われます。
ただ、兄弟とか親子とかであれば記憶がより継承されやすいというように、継承する前後の人が血縁関係にあるかによって記憶の継承の度合いが変わります。
超大型巨人の継承:ベルトルト→アルミン
アルミンはベルトルトの記憶が見れたが、役に立つ記憶は得られなかった。
顎の巨人の継承:マルセル(兄)→ユミル(他人)→ポルコ(弟)
血縁関係にないユミルが挟まっているからか、マルセルからポルコへの濃い記憶は流れていなかった。
この記憶についてですが、何かと接触して偶発的に濃い記憶が流れるということがあります。
ポルコの場合は、兄マルセルとのかかわりが深かったライナーと接触したときに、兄マルセルの濃い記憶が流れました。
エレンの場合は、王家の血をもつヒストリアと接触したときに、父グリシャの濃い記憶が流れました。
話を戻しますね。
まとめると、進撃の巨人は固有の能力「未来の進撃の巨人継承者の記憶を見る」こともできますし、
知性巨人のデフォルト能力として進撃の巨人の場合は、「過去の進撃の巨人継承者の記憶を見る」こともできるということです。
未来の記憶の濃さに関しても血縁関係がかもしれませんが、今のところ不明です。
ですが、血縁関係を感じさせないような描写がいくつかされています。
いずれにせよ、ここで押さえておくべきことは、エレンは過去の進撃の巨人継承者であるグリシャの記憶を見ることができるということです(偶発的に)。
15歳のエレンは能力で未来の記憶を見た
王家の血が流れているヒストリアがウォールマリア奪還の功績を称える勲章授与式(第90話)で、1人ずつループタイ(紐ネクタイ)を授与していきました。
ウォールマリア奪還の功績者であるエレンは、ヒストリアからループタイを首にかけてもらったあと、ヒストリアの手の甲にエレンが軽いキスをしました。
そのときヒストリアとの接触がきっかけとなり、15歳のエレンは父グリシャの過去の記憶を見ることになります。
進撃の巨人以外の知性巨人であれば、「過去の継承者の記憶を見た」だけで終わるのですが、進撃の巨人の場合は少し違います。
なぜかというと、進撃の巨人には「未来の継承者の記憶見れる」能力があるからです。
次の図を見てください。
のとき当時15歳のエレンを「エレン(15)」と表記しています。
そして勲章授与式から4年後(進撃の巨人92話以降)の19歳のエレンを「エレン(19)」と表記します。
で、結論を先にいうと、15歳のエレンはグリシャの記憶を通して、間接的に19歳のエレン(未来の自分)の記憶を見てしまいます。
まず、過去のグリシャは進撃の巨人の能力により、19歳のエレンの記憶(未来の継承者の記憶)を見ます。
そして、15歳のエレンは知性巨人に備わった能力により、グリシャの記憶(過去の継承者の記憶)を見ます。
このようにして、エレン自身が未来のエレンの記憶を間接的に見ることになりました。
つまり、勲章が授与された時点で、エレンは絶望的な未来を知ってしまったということです。
進撃の巨人120話と121話の記憶ツアーについて
エレンとジークによるグリシャの記憶ツアーは複雑?
2019年8月に進撃の巨人120話、9月に121話が公開されました。
この120話と121話では、異母兄弟であるエレンとジークが父であるグリシャの記憶を旅する様子が描かれています。
エレンとジークがグリシャがいた時代にまるでタイムスリップしているかのような、そんな描かれ方がされています。
で、知性巨人に備わっている能力と進撃の巨人の能力によって、エレンとジークによる記憶ツアーがややこしく感じてしまいます。
1つずつ解説していきたいと思います。
19歳のエレンは未来の記憶を持っている
先ほど説明したように、戴冠式の日に15歳のエレンは間接的にですが、未来の自分の記憶を見ることになりました。
そのエレンがそのまま成長して、4年が経ち19歳になりました。
当然のことながら、19歳のエレンもこれから起きるであろうことを記憶としてもっています。
とはいっても、グリシャが進撃の巨人の能力で見れている範囲での記憶ですが。(全ての未来の記憶を見ているわけではないと思います)
この状態で19歳のエレンは、ジークと一緒にグリシャの記憶を覗き見る(記憶ツアーをする)ことになりました。
記憶ツアーで存在するグリシャも未来の記憶を持っている
ここでポイントとなるのが、過去のグリシャは既に未来の継承者であるエレンの記憶を見ているということです。
ということは、エレンとジークが自分の記憶を訪れていることも、おそらく未来のエレンの記憶から知っていると思います。
こんなかんじで、まるで鏡に鏡を映して、永遠に鏡が像を作り続けるみたいな関係性になっています。
ここまでは、まぁ理解できたのですが、未来の記憶が見れるのと過去の記憶が見れる状態で、複雑なのがここからなんですよね。
こんな疑問をもった人も多いはずです。
進撃の巨人の能力で過去を変えることはできるのか?
ジークとエレンは過去のグリシャと接触して、過去を変えることはできるのでしょうか?
結論をいうと、記憶ツアーでエレンとジークは過去に干渉はできるが、過去を変えることができません。
例えば121話で、エレンがグリシャに脅すように話かけるシーンがあります。
グリシャはエレンのプレッシャー押されて、めっちゃビビッていました。
このように、エレンは過去のグリシャに干渉できていたことが分かります。
しかし、エレンがグリシャに干渉したと言っても、この干渉するという行為自体が既に決定していたことなんです。
つまり、エレンがグリシャにプレッシャーをかけるという事実を変えることはできないということです。
そうなると決まっていたのです。
決まった運命の通りに時間が流れていくのです。
グリシャの記憶には、プレッシャーをかけてくるエレンが埋め込まれています。
「エレンとジークはそのグリシャの記憶の中で、決まった動きしができない」と言い表すこともできます。
ただ、グリシャはジークにエレンの行動を変えるようにお願いするシーンがあります。
このお願いは、グリシャが進撃の巨人の能力で未来のエレンの記憶をみたからこそできた、お願いです。
進撃の巨人の能力で過去を変えることはできませんが、未来を変えることはできるかもしれませんね。
進撃の巨人の能力でグリシャはジークを見たのか?
なぜかは分かりませんが、グリシャはジークを見ることができました。
さらに見るだけじゃなく、グリシャはジークを抱きしめたのです。
と疑問をもつ人も多いです。
これは、卵が先か鶏が先かみたいな話で解決します。
次の図を見てください。
この図では、「グリシャはジークが見えた」という事実を、未来のエレンの記憶から得ていないパターンを表しています。
つまり、「グリシャはジークがそこにいることを認識している」ということを記憶から得ていないので、グリシャはジークを認識することができません。
一方、次の図ではグリシャはジークを認識することができます。
グリシャは未来の記憶から「グリシャはジークがそこにいることを認識している」という記憶を未来のエレンの記憶から得ています。
ですので、グリシャはジークの存在を認識することができるのです。
簡単にいうと、ジークが見えた記憶があるからジークが見えるってことです。
進撃の巨人の能力はループなのか?
進撃の巨人の能力は、失敗したらある地点からリスタートさせるループの能力ではないかという説もありました。
ですが、進撃の巨人121話で初めからやり直す的なループ能力ではないことが判明しました。
ただ、進撃の巨人継承者の間での記憶についてはループしているような気がしました。
ジークがエレンをグリシャの記憶ツアーに連れ出したことによって、エレンやジークがグリシャに干渉して(過去は変わらない)、それがその後のエレンに影響しています。
このように考えると、過去と未来が互いに干渉し合って、結果的に進撃の巨人の物語はループしていると言えるかもしれませんね。
進撃の巨人の能力は全ての未来を見れるわけではない
進撃の巨人の能力は、「未来の継承者の記憶を見ることができる」といいましたが、どうやら全ての未来の記憶を見れるわけではなさそうです。
グリシャは王家であるレイス家の人たち(レイス家の父親以外)の命を奪った後、こう言いました。
「エレン!!」
「レイス家を殺したぞ!!」
「父親以外は・・・」
「これでいいのか!?」
「これでよかったのか!?」
「エルディアはこれで・・・本当に救われるのか!?」
「なぜ・・・すべてを見せてくれないんだ・・・」
「壁が壊されることを・・・」
「壊される日を・・・」
「・・・カルラの安否を・・・」
進撃の巨人121話
超大型巨人(ベルトルト)と鎧の巨人(ライナー)によって壁が壊される日というのを、どうやらグリシャは知らなかったようです。
また、エレンの母親であり妻のカルラが、元妻のダイナフリッツ巨人に食べられる未来というのも見ていないようです。
しかし、レイス家を襲って始祖の巨人を奪うことや、「進撃の巨人121話」よりも先の未来(おそらく最終的な恐ろしい結末)をグリシャは見ているようです。
なぜ、壁が壊される日という重要な情報をグリシャを見ることができなかったのでしょうか?
私は「未来の継承者の記憶を見る能力」というのは、正確にいうと「未来のエレンが見せたい未来の記憶を見る」という能力だと予想します。
もし、壁が壊される日をグリシャが知っていたら、どのような行動をグリシャはとっていたでしょうか?
おそらく、始祖の巨人を奪う(レイス家の血を絶やそうとする)ことを優先せずに、カルラの命を守ることを優先していたと思います。
そうすると、グリシャはレイス家から始祖の巨人を奪えなかったと思います。
また、エレンに「進撃の巨人」と「始祖の巨人」を継承することもできなかったでしょう。(始祖の巨人を奪った後同じ日に、エレンに自分を食べさせ継承)
要するに、エレンはグリシャに
- グリシャに始祖の巨人を奪わせる
- 進撃の巨人と始祖の巨人をグリシャからエレンに継承させる
という目的を達成するのに都合のいい未来の記憶を見せていたのではないかと考えます。
だから、未来のエレンが情報の「発信者」で、過去の進撃の巨人継承者は「受信者」に過ぎなかったのです。
つまり、エレンは黒幕なのです。