2019年3月7日に、Nintendo SwitchにVR機能を追加する「Nintendo Labo: VR Kit」の発売が発表されました。
このVR Kitが24年前に発売された「バーチャルボーイ」という任天堂から発売されたゲーム機と似ていることが話題になっています。
ただ、バーチャルボーイはヒット作にはならず、わずか1年で撤退することになったので、世代によっては知名度の低いゲーム機です。
今回は
- バーチャルボーイとは何か?
- バーチャルボーイの見え方の仕組みについて
- バーチャルボーイの画面の特徴について
- バーチャルボーイが黒歴史と呼ばれる理由
についてまとめました。
バーチャルボーイとは何か?
バーチャルボーイの商品情報
バーチャルボーイとは、1995年7月21日に任天堂から発売されたゲーム機です。
価格は約1万5000円です。
ただ、任天堂のスーパーファミコンやゲームボーイのようなヒット作というわけではなく、全世界での累計出荷台数は約77万台です。(これでも売れている方)
バーチャルボーイソフト一覧
1996年以降にバーチャルボーイのソフトは発売されていません。
1995年7月~12月までの約半年間でソフトの発売は終了したので、バーチャルボーイのソフトは国内ではたったの19本しかありません。
- レッドアラーム(T&E SOFT)
- とびだせ!ぱにボン(ハドソン(現・コナミデジタルエンタテインメント))
- ギャラクティックピンボール(任天堂)
- テレロボクサー(任天堂)
- マリオズテニス(任天堂)
- バーチャルプロ野球’95(コトブキシステム)
- T&E ヴァーチャルゴルフ(T&E SOFT)
- バーティカルフォース(ハドソン)
- V-テトリス(BPS)
- スペーススカッシュ(ココナッツジャパンエンターテイメント)
- マリオクラッシュ(任天堂)
- ジャック・ブラザースの迷路でヒーホー!(アトラス)
- バーチャルフィッシング(パック・イン・ビデオ(現・マーベラス))
- インスマウスの館(アイマックス)
- スペースインベーダー バーチャルコレクション(タイトー)
- バーチャルボーイワリオランド アワゾンの秘宝(任天堂)
- バーチャルLAB(J・ウイング)
- バーチャルボウリング(アテナ)
- SDガンダム DIMENSION WAR(バンダイ(現・バンダイナムコエンターテインメント))
出典元:れとろとろ
海外のみ発売のソフトを含めても28本です。
ソフトの種類が少ない分、全種類コンプリートしやすいという利点はありますね。
まぁ、今から集めるとなると中古での購入になりますが。
バーチャルボーイは形が新しかった
スタンド付きの、双眼鏡のようにのぞき混める機械がバーチャルボーイ本体です。
コントローラーも面白くて、左右に十字キーがあり、ほかのゲーム機には見られない特徴です。
スタンドがなければ、現在VRを楽しむのに使うVRゴーグルと似ていますね。
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— スマホ価格比較 (@spkakakubiz) 2019年3月1日
バーチャルボーイはテレビに接続しないタイプ
バーチャルボーイはテレビには接続せず、テレビの画面も必要ありません。
バーチャルボーイ本体の覗き口から内部のゲーム画面を見ることができます。
単3アルカリ電池6本もしくはACアダプターで充電します。
バーチャルボーイの見え方の仕組みは?
バーチャルボーイの最大の特徴は、画面やその見え方です。
ざっくりいうと、
- 画面が赤くて
- 立体的
に見えます。
それでは、詳しく説明していきますね。
バーチャルボーイのプレイ動画
バーチャルボーリング
バーチャルボーリングのプレイ動画です。
画面を見で、めっちゃ赤いやん!って思いました。
あとやはり、バーチャルボーイを付けないと立体的に見えませんね。
マリオズテニス
やはり、3Dの撮影はできないですよね。
バーチャルボーイソフトいろいろ
奥行があると楽しめるものだと、バーチャルボーイめっちゃやってみたいです。
ただ、すごく見ていてしんどいです。
船酔いや車酔いしやすい人は、合わないゲーム機かもしれませんね。
どうやって立体的に見せているの?
上のバーチャルボーイの店頭動画によると、「DUAL DISPLAY」システムを使うことで、映像を立体的に見せているようです。
左右2つの画面を使うのですが、その2つの映像は完全に一致しません。
左右少しズレた映像をそれぞれの画面に表示させて、その視差(左右の目で物体を見たときに生じるズレ)を利用して立体視を再現しています。
上の動画では、左右に違う微妙に違う映像が映し出されています。
立体視をする(寄り目をして左右の映像を一致させる)と、立体的な映像見えますよ!
※私は立体視が得意な人なので、けっこう簡単にできますが、苦手な人もいると思います。
バーチャルボーイの画面が赤い理由
赤色LEDが使われている
バーチャルボーイの画面に映っている映像の色は、主に赤色と黒色です。
この赤色を作っているのは、赤色LEDです。
で、「なぜわざわざ見ていて疲れる赤色を使用したのか?」と思う人は多いと思うので説明します。
LEDを利用したのは、消費電力や発熱が少ないという点だと思います。
そしてLEDを使うことを前提としたとき、全ての色を表現できないという壁にぶつかることになりました。
今となってはフルカラーの映像というのは当たり前になっていますが、バーチャルボーイが発売された当初は実現できませんでした。
なぜかというと、赤、緑、青の三原色のLEDが実用できなかったからです。(三原色があれば全ての色を作ることができます。)
LEDの色の歴史
ざっと、LEDの色の開発年をまとめます。
1962年:赤色LEDが開発される
1972年:黄緑色LEDが開発される
1989年:青色LEDが開発される
青色LED関係で日本人3人がノーベル物理学賞を受賞されましたが、それは赤色と緑色と青色を使って白色を作れるようになったからです。
それくらい、三原色をLEDで灯すことができるのはすごいことなんです。
話を戻して、1989年に青色LEDの開発に成功しているのですが、おそらく量産や実用化に関しては、バーチャルボーイの開発(1995年以前)までに間に合わなかったのだと思います。
もし、青色LEDがもっと早く実用化できていれば、バーチャルボーイの歴史は変わっていたかもしれませんね。
画面が赤いため、プレイ中に休憩画面が表示される
立体視と赤い画面で目が疲れることの考慮からか、30分以上プレーし続けると、自動的に休憩画面になるようです。
休憩時間を設けてくれるので、単についついやってしまうゲームを中断する効果もありそうですね!
バーチャルボーイが任天堂の黒歴史と呼ばれる理由
バーチャルボーイが任天堂の黒歴史と呼ばれる理由についてまとめていきたいと思います。
理由①バーチャルボーイがヒットしなかったから
単純にバーチャルボーイがヒットしなかったから、黒歴史と呼ばれています。
ですが、バーチャルボーイはそこそこ売れていたみたいです。
バーチャルボーイの画面は赤いですが、バーチャルボーイによって赤字にはなっていません。
黒字にはなっていたようで、一般的なおもちゃと比べると売れています。
任天堂のヒットしたゲーム機と比べると、黒歴史と呼ばれるのは当然です。
理由②色が赤と黒でおもしろくなかったから
技術的なことで赤と黒を使うほかなかったので、仕方がないことだとお思います。
もう少し温めればよかったかもしれませんが、フットワークが軽すぎましたね。
実はこんなバーチャルボーイ誕生の裏話があります。
大ヒットした「ゲームボーイ」はもちろんのこと、「バーチャルボーイ」の開発の時もそうでした。最初は立体映像のゲームが作れないかというアイデアだけがあったのです。立体で見えるディスプレイをもう少し工夫したら何かできるんじゃないかという、非常に曖昧なアイデアでした。その実験をするには5,600万円のお金がいるので社長のところへ行ったのです。
ところが社長はせっかちで、どんなものがいくらでできるのかまで聞いてくる。
慌てて、閃くままにこうなってああなってと説明したら、社長が乗り気になって、600万円では足りないだろう、そのディスプレイを作ってるやつの権利も買い取れということになり、その場で600万円の予算案が一気に2億円になってしまいました。
出典元:文春
任天堂でヒット作をプロデュースを手掛けた、横井軍平社長との開発者とのお話です。
実現までの動きが速すぎたことも、このお話から分かります。
理由③赤画面と3Dで目が疲れるから
最初は目の運動になるから、バーチャルボーイは目に悪影響を与えないと考えられていました。
実際科学的にどうかはわかりませんが、赤い画面でのぞき込んでゲームをプレイすることから、「バーチャルボーイは目に悪い」という認知が広がったと言われています。
子どもの場合は、買うのは親だから余計バーチャルボーイの購入がためらわれたのではないでしょうか。
理由④持ち運びができない
バーチャルボーイの前にヒットした「ゲームボーイ」は持ち運びをすることができる携帯型のゲームでした。
テレビの画面が必要ないバーチャルボーイのメリットが、持ち運びできないとなると帳消しされていることになりますよね。
しかも、電池が必要または充電式であるし、非常に中途半端です。
理由⓹複数の人で画面を共有できない
バーチャルボーイを装着すると、ほぼ1人の世界に入り込みます。
自分以外の人に画面を見せることができないので、友達や家族と楽しさを共有することができません。
外から見たら、一人で遊んでいるようにしか見えません。
この点は現在のVRのゲームが改善してくれるところだと思います。
やはり、任天堂のゲームは大勢じゃなくても、自分以外の人間と一緒にプレイできたり、見ることができるところに魅力があるんじゃないでしょうか。
ポケモンがヒットし続けたのも、「通信」という機能があったからだともいわれています。
バーチャルボーイとは?見え方・画面・黒歴史まとめ
バーチャルボーイとは何か?
- 1995年7月21日発売されたゲーム機
- ヒット作ではない
- 半年でソフトの販売終了
- VRゴーグルのような構造
- 左右に十字キーがある独特なコントローラー
バーチャルボーイの見え方や仕組みは?
- 映像はすごく赤くて立体的に見える
- 微妙にズレている2つの映像を画面に映している
- 人間の視差を利用して奥行を出している
バーチャルボーイの画面が赤い理由
- 赤色LEDが使われているから
- 1995年当時は青色LEDが実用化に至っていなかった
- 光の三原色がLEDで表現できなかったため、赤と黒色の画面
バーチャルボーイが任天堂の黒歴史と呼ばれる理由
- バーチャルボーイがヒット作ではないから
- 画面の色が赤と黒でおもしろくないから
- 赤い画面&3Dで目が疲れるから
- 持ち運びができないから
- 複数の人と画面を共有できないから
「Nintendo Labo: VR Kit」よりも24年も先に、同じようなゲーム機があったとは驚きですよね。
ようやく、時代が任天堂に追いついてきたようです。
時代の先を行く任天堂のアイデアが今現代版にアップデートして、今後もどんどん登場しそうで、楽しみです!