吉本興業闇営業とは?普通の直営業との違いとは?本当に悪いこと?

2019年6月7日に明らかになった、「カラテカ」の入江慎也さんや「雨上がり決死隊」の宮迫博之さんら吉本芸人による『吉本興業闇営業』が話題になっています。

「闇営業」というワードを見ると、いかにも「悪いこと」という印象をうけますよね。

でも、「闇営業」の「闇」の示すものは実際のところなんなのか?というのを明確にしている人は意外と多くないのではないかと思います。

今回は闇営業の「闇」とは何かをはっきりさせながら、「吉本闇営業」の何が問題なのかについてまとめていきたいと思います。

目次

闇営業とは?本当に悪いこと?

闇営業とは

まず、一般的な「闇営業」の意味をみてみます。

闇営業とは「事務所に所属している芸人が、事務所を通さずに行う営業」を意味する芸人用語である。取っ払いとも。

あくまで「事務所を通さない」という意味であって、地方の祭りや友人の結婚式に個人的に請われて参加するのも闇営業である。

出典元:ニコニコ大百科

どうやら、闇営業とは芸人の間で使われている業界用語であるようです。

芸人の多くは芸能事務所(芸能プロダクション)に所属されています。

所属されていなければ、フリーと呼ばれますよね。

例えば、お笑い芸人の宮迫博之さんなら吉本工業(正式には、吉本工業子会社の「よしもとクリエイティブ・エージェンシー」)です。

所属する事務所を通さずにタレント(芸人)が直接ギャラをもらうような営業を「闇営業」と呼びます。

タレントが直接ギャラをもらうことから「直営業」ともいいます。

闇営業と直営業は言葉が違うだけで同じ意味です。(印象は変わりますよね)

芸人仲間のツテや自分の中の良い人から直接頼まれるなど、闇営業には様々なルートがあるそうです。

何が闇なのか?

普通の結婚式や宴会も「闇営業」になる場合がありますが、一見すると芸人の方は何も悪いことをしていないように見えますよね。

じゃあ「闇」という言葉はふさわしくないのでは?と思う人がいるかもしれませんが、誰にとっての「闇」かというところを考えないといけません。

で、結論をいうと「事務所(プロダクション)」にとって「闇」ってだけなんですね。

事務所が損する営業だから「闇」なんです。

本来は、ギャラの発生元とタレント自身の間に事務所が挟まります。

実際に発生した金額の何割か差し引いたものを、事務所は所属タレントにお金を支払います。

例えば、芸人さんが10万円の仕事をしたとしても、事務所を通しての仕事であれば芸人は10万円をもらうことができません。

事務所と芸人の配分が5:5であれば、5万円ずつ分け合うという形を取ります。

逆に事務所はこのようにタレント(芸人)から仲介料をもらうことによって、利益を出しています。

もちろん、事務所側は

  • タレントのスケジュールの管理
  • タレントの仕事の手配
  • タレントをマスコミから守る

などをしていますので、タレントと事務所はウィンウィンの関係をもっているとも言えます。

結局、闇営業は悪いの?

タレントは事務所とマネジメント契約をしています。

契約内容によるかもしれませんが、タレントが芸能事務所を通さず自分が100%のお金をもらうことは契約違反である可能性があります。

事務所がお金と時間をかけてタレントを育てて、知名度をアップさせたにも関わらず、利益が出なかったら事務所側は損したことになりますからね。

例えば、事務所がタレントに100万円かけたとしても、後から100万円以上仲介料で回収できればいいという話になります。

もし、100万円かけて5000万回収できたはずなのに、所属タレントが闇営業をしていたために本来仲介料としてもらえた2000万が回収できず、3000万しか取れなかった!

なんてことがあったら事務所側から見ると損ですよね。

闇営業というのは、いわば「事務所が稼ぐ仕組みの外側でのタレント活動」といえるのではないかと思います。

まとめると、「事務所側が損するような契約違反」をタレントがすることを「闇」と表現しているのです。

吉本は芸人と契約を結んでいない

事務所と契約について問題を起こすケースがよくありますが、吉本はそもそも契約書もなく、所属芸人と明確な契約を結んでいないようです。

吉本興業が契約を解消したことについては、「吉本興業と芸人との間に契約書というのもがない」と矛盾を指摘している。

加藤浩次も「俺らは(契約書を)交わしたことがない」と同意し、近藤は「芸人は(契約書を)交わしたことがないので、契約解消というのであれば、会社としても契約書をちゃんと作って、こういう契約でやるので、何か営業やお話があった際にはちゃんと会社を通しましょうねとか、何もなかったので、わからない部分もある」と続け、「今後は会社的に考えていかないといけなんじゃないかな」と提言した。

出典元:WEZZY

芸能事務所(プロダクション)でありながら、わりとテキトーなかんじでやってきたのは、養成所という存在があるからじゃないかと思います。

吉本芸人の多くは、吉本総合芸能学院New Star Creation(通称NSC)と呼ばれる養成所に通います。

1年で40万円の学費を払い、1年間NSCで学ぶそうです。

養成所を卒業すると、売れるかは別としてプロ芸人として活動することになります。

つまり、このプロ芸人になるまでの間で、事務所と芸人が契約を結ぶということしていなかったということですね。

吉本所属芸人のギャラはどれくらい

所属する事務所によって、タレントと事務所のお金の配分は変わります。

また、同じ事務所であってもタレントによって事務所との配分が変わることもあるようです。

ダウンタウンの松本人志さんや東野幸治さんが芸人のギャラについて、2014年10月11日放送の『ワイドナショー』で次のようにおっしゃっていました。

東野幸治:それ、よく言われる…テレビ番組出ます、と。そしたらテレビ局からギャラをもらいます。そしたら、事務所がナンボか差し引いて。色々、経費とか差し引いて、ご本人にギャラが渡されるんですけど、これは事務所によって違うんですよね?

松本人志:事務所によっても違うし、タレントによっても違うんでしょうね。

東野幸治:吉本興業も、取り分が違う、と。基本的には、1(タレント):9(事務所)って言いますよね。

松本人志:吉本はそうやったっけ。人力舎は半々くらいって。

(中略)

指原莉乃:太田プロは、良心的だと聞きます。

井上公造:太田プロは良いですよ。太田プロは、6:4だとか。

松本人志:めっちゃエエやん。

指原莉乃:私が4ですか?

井上公造:いや、タレントさんが6でしょ。

松本人志:え?人力舎よりエエやんか。

指原莉乃:太田プロ、凄い良いって聞きますね。土田さんが頑張って言ったって。全員、給料制だったのを変えたのが、土田さんだって聞いたことあります。

東野幸治:人力舎も、おぎやはぎの矢作くんが頑張って、権利を獲得したって話も聞いたし。

(中略)

東野幸治:ホンマですね(笑)吉本が一番悪いんでしょ?

井上公造:特に若手の頃。劇場のギャラが数百円って。

東野幸治初任給がね。450円とか。500円で、50円税金引かれて、450円。

井上公造:交通費出ないんですよね?

松本人志:出ないですね。

井上公造:結果、交通費払ったら、劇場に行くの赤字になっちゃうんです。

(中略)

東野幸治:でも、上の方も辞めないでしょ?どうやら、吉本的にはからくりがあって、上の方になると、取り分が多いと思う。

松本人志:多いと思うって、お前も上の方やろ。よう言うよな。こういう時だけ、下の感じを出してきやがって。

(中略)

指原莉乃:どの辺から、わがまま言えるんですか?

東野幸治:生意気なヤツは、最初からわがままやし…

指原莉乃:「これ、低すぎない?」とか。

東野幸治:ああ、ギャラ交渉?みんなそれぞれ、勝手にやってんのよ。

松本人志:やってんのや?

松本人志:…我々、当然、契約金ももらってないしね。

東野幸治:たとえば、『ワイドナショー』が始まりますって時に、ギャラナンボって言われたことないから。それは2月後のお楽しみ、みたいな感じですよ(笑)

松本人志:それで、逆に俺はある番組をやった時に、思った以上に少なかったから、岡本に…ウチの社長に、「少な過ぎひんか?」って言うたら、次の月に倍になってたから(笑)大雑把やなぁって。

指原莉乃:凄い(笑)

松本人志:「言うてみるもんやで~」でしたけどね。

出典元:世界は数字で出来ている

吉本興業は芸人からの搾取が半端ないと聞いたことがありますがこの話によると確かにそうですよね。

もちろんタレントの実績などの違いによって事務所との配分は変わりますが、

プロダクション人力車
 タレント:事務所=5:5

太田プロダクション
 タレント:事務所=6:4

よしもとクリエイティブ・エージェンシー
 タレント:事務所=1:9

と事務所によって様々です。

その中でも、吉本興行(よしもとクリエイティブ・エージェンシー)が圧倒的にタレントからお金を取っているということが分かります。

また、若手芸人であれば元のギャラも少ないわけですから、事務所に仲介料を取られて残るお金は少ないというのは当然ですよね。

確かに、これはキツいです。

だったら、闇営業をして事務所にお金を取られないようにする、と考えるのも理解できない話ではありませんよね。

ただ、テレビでも頻繁にみるような年齢が高い芸人の場合は、若手芸人と比較して芸人が多くもらえるような配分になるのでしょう。

事務所からしたら、事務所の稼ぎ手である売れっ子芸人に辞められるほうが、配分を芸人に有利なようにすることよりも、損するというのがあると思います。

だから大物芸人になればなるほど、芸人ができるだけ多くもらえるような配分になるのだと考えられます。

過去に闇営業をしていた吉本所属芸人

闇営業をしている芸人はおそらく、一般人が思っているよりも多いのかもしれません。

楽しんご

お笑い芸人で「日本一予約が取れない」整体師の楽しんごさんは、闇営業をしていたことにより2019年3月末で吉本から解雇されたそうです。

(本人によると自分の意思で辞めたがマスコミが話題に合わせて文脈をかえたようです。)


楽しんごさんと渋谷りゅうきさんによる「おいなりちゃんねる」というYoutubeチャンネルがあります。

これをみると、吉本興行のヤバさがより分かりますね!

 

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楽しんごさんは、「吉本興業闇営業問題」と自身が解雇されたことについて、次のようにおっしゃっています。

今回の騒動について「“闇”って言葉があんまりよくないと思うんですね。もともと直営業とか“直”っていう言葉が“闇”に変わってきてしまっている」と前置きした上で、「ブレークした後はほとんどお仕事もなく、オーディションもなかったので、ほとんど自分で直営業をやってないと生活ができなかったんですね」とブレーク後の生活苦を告白。「(営業が)バレるやつは全部吉本通してたんですけど、バレなさそうなのは結構やっちゃってました」と明かした。

最後には「めちゃくちゃ反省してます。吉本さんには10年ぐらいお世話になったんで、すごい感謝してるんです」と吉本への思いを口にした。

やはり生活のためには、仕方のないことだったのかもしれません。

吉本興業という力のある企業に所属するメリットとデメリットを考えないといけないかもしれませんね。

あと、吉本が取り過ぎるのではなく、もう少し芸人のことを考えたギャラ設定にするべきだとも思います。

まぁ逆に考えて、ギャラが低いけれども「闇営業」があるからいいよね?というグレーゾーンを作っていたのもあるのではないでしょうか?

事務所側も芸人側も。

金属バット

 

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坊主頭の小林圭輔(こばやしけいすけ)さんと美しい長髪の友保隼平(ともやすじゅんぺい)さんは、「金属バット」というコンビで活動されています。

「金属バット」は2013年からYoutubeに「金属バットのラジオバンダリー」というラジオ動画を投稿されています。

 


こうやって、事務所を通さずにファンに発信できるのが現代の強みもありますよね。

ですがこのYoutubeがきっかけでとある問題が起こりました。

「金属バットのラジオバンダリー」5周年企画として、2018年5月に単独ライブを小林さんと友保さんは行いました。

吉本を通さずに単独ライブをやったこと、さらにファンにはうれしいグッズ販売で利益を上げ過ぎたことにより、2018年6月末まで謹慎処分をくらったようです。

実際はこの単独ライブだけではなく、吉本では禁止されているインディーズライブに出演していたなど、尖ったことをしていました。

これも、闇営業ですよね。

あと、個人的にかわいそうだと思ったのが、金属バットのYoutube動画の広告がはがされてしまうことです。

これは吉本が絡んでいるのか、Youtubeの取り締まりが厳しくなったのか分かりませんが…。

金属バットはひたすら尖っているので、吉本からの給料明細もTwitter上で公開しています。(いいのか…?いいか!)

 

2019年2月22日

183579円

2019年3月22日

173542円

2019年4月22日

255109円


2019年5月26日

247055円

2019年6月21日

360900円

まとめると

2019年 2月~6月

2月:183579円

3月:173542円

4月:255109円

5月:247055円

6月:360900円

金属バットが売れてきているのが分かりますね!

ただ、タレント(芸人):よしもと=1:9の配分だとすると、2019年の6月には約300万円分の仕事をしているということになりますよね…。

これは仕方がない。と思わせるのが吉本興業のスゴイところ。

よしもとを抜けて独立しようとした芸人

野生爆弾のくっきーさんは、今でこそ売れている芸人ですが、昔は独特過ぎて売れていませんでした。

金属バットもそうなのですが、野生爆弾のくっきーさんも時代が追い付いてきた芸人さんの1人だと個人的に思っています。

野生爆弾のくっきーさんは売れ始める前は仕事が少ない上に、吉本の過剰な搾取によりギャラが低かったことに不満をもち、吉本から独立しようと考えていたそうです。

2017年のこと。

くっきーさんは1人で独立するのではなく、吉本の優秀な営業マン2名とその妻、あと人気のある芸人に「俺、独立するねん。一緒に組まないか」と誘ったそうです。

売れっ子芸人に声をかけたそうですが断られ続け、唯一オッケーと言ってくれたのがエハラマサヒロだったそうです。

で「NON STYLE」などのM-1王者のコンビにも声をかけたそうです。

「行列のできる法律相談所」では、くっきーさんの独立エピソードで独立後のギャラについてのお話がありました。

2008年のM―1王者の「NON STYLE」が登場。「確かに声を掛けられた」と振り返った石田明(38)は「ギャラの交渉とかもするんですけど、『お金はどこに入るんですか?』って聞いたら、くっきーさんの元に入って、そこから払うと。(ギャラは)どれぐらい入っているかは煙に巻く」と暴露した。

 番組MCの東野幸治(50)は「やっていること吉本と一緒」と事務所後輩を笑っていた。

と、くっきーさんも「吉本のシステムは事務所側がトクする」ということを理解しつつも、自分も同じようにやろうとしているところがおもしろいですね!

やるのはイイが、やられるのはイヤ。

結局吉本のシステムはシンプルにおいしいのだと分かります。

吉本興業闇営業は何が問題だったのか?

2019年6月に吉本興行闇営業が公になりました。

ここで、問題になっているのは2点あります。

1つは、振り込め詐欺などの「反社会的集団」の宴会に出演し、お金も受け取っていたことです。

そして、もう一つが納税関係です。

反社会的勢力からギャラをもらうことが大きな問題

反社会勢力にお金が流れているわけではないですが、反社会勢力からお金を受け取っていたことは倫理的にアウトって話です。

闇営業(勅営業)をしていて処分を下されている芸人もいることはいるのですが、ここまで大きくは問題にはなっていません。

反社会的勢力かどうかは重要なポイントだと思います。

脱税をしていることが問題

さらに、闇営業(直営業)でもらったお金は確定申告(収入を申告すること)しているかといえばしていないと思います。

つまり、脱税です。

なぜ申告していないか考えるかというと、所属している事務所にバレる可能性(通知がいく)があるからです。

反社会的集団から依頼された闇営業ならなおさらですよね。

ちなみにですが、本業の他に20万円以上の収入がある場合は申告する必要があります。

芸人の多くは直営業をしているということを考えても、直営業というもの自体がグレーゾーンかなと思ったりもします。

闇営業はグレーゾーン

繰り返しになりますが、闇営業は見つからなかったらやっても仕方ない程度の「グレーゾーン」だったと思います。

それに、「カラテカ」の入江慎也さんを解雇して、「雨上がり決死隊」の宮迫博之さんや「ロンドンブーツ1号2号」の田村亮さんを庇おうとしていましたよね。

これは、吉本にお金が入っていれば(稼ぎ手の芸人から一定のお金が入っていれば)、「吉本のイメージが悪くなるようなことがなければそれでいい」みたいな風潮が会社自体にあったのではないかと思います。

つまり、事務所も芸人もグレーゾーンという認識なのでしょう。

吉本は企業である

吉本興業はボランティアの団体ではなく、利益を出さないといけない1つの企業です。

だから、必ずといっていいほど「利益」を優先します。

結局振込詐欺集団からの金銭の授受が確認され、芸人たちのイメージや吉本のイメージが悪くなったことでスポンサーが降板することになり、宮迫さんたちは謹慎処分を下されました。

最初は反社会的勢力からギャラを受け取っていないと言っていました、これは今回関わった芸人から得られる企業への利益を落とさない方向にもっていきたかったからです。

この対応も、企業としては正解なのかもしれませんが、世間やスポンサーのことを考え長い目で見た利益を考えると、間違いだったと思います。

吉本興業の今後

闇営業を公式にオッケーするかどうかは別として、「反社会的集団」からの闇営業だということを見抜き断る力や管理体制が必要になるのではないかと私は思います。

吉本という会社の体制が変わらない限りは自己管理という話にはなりそうですが。

それはそうとして、芸能系・エンタメ系事務所のバックには反社会的勢力がついていることはよくあります。

今回の吉本興行の対応は「表の顔」です。

「裏の顔」のことを考えると、今回の問題はなんともおもしろいですよね。

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